平屋の新築とは?

2023.07.29
平屋の新築とは?

いま平屋が人気です。

こじんまりとした暮らしに向いている平屋はこれまで、年配の方がリタイヤ後にのんびり暮らすイメージがありました。

でも最近は、若者が平屋を建てて自分たちのスタイルに合った暮らしを実現するケースが増えています。

国土交通省の建築着工統計調査によると、平屋の着工棟数は10年前のおよそ倍、2021年はおよそ55,000棟でした。新築戸建て全体に占める平家の割合も10%を超えました。

平屋の定義

平屋とは1階建ての建物を言います。ロフトや屋根裏があっても2階がなければ『平屋』です。

なぜ平屋が人気?

若者に人気の平屋ですが、人気の理由は以下です。

①コロナで郊外へ広い土地を求める人が増え、そこに平屋を建てるケースが増えた

②資金計画面で現実的

③地震に強い、耐震性が高い

④核家族化・少子高齢化で、平屋が生活形態に向いているケースが増えた

少子高齢化が進み、核家族にも高齢者にも平屋がサイズ感のいい家ということが大きいようです。また、地震大国にあって、揺れに強い構造である平屋は安全な住宅として評価されつつあります。

さらに、若者の予算資金計画の面からも2階建てよりも少ない予算で建てられる小ぶりの平屋が人気となっているようです。

都市部だと隣家との距離が近く採光しずらいというデメリットもある平屋ですが、都市部に住む人がコロナで郊外に広々とした敷地を求めたことも平屋人気の要因の1つです。

平屋の新築の特徴

平屋の新築を建てる場合、2階建てよりも構造が単純なため必要な強度が確保しやすくなり、間取りの柔軟性が高まります。これが平屋の大きな特徴と言えます。

中庭を作ったり、屋根を大きくしたり、梁でとばして大きな部屋を作るなど、自由な間取りやデザインが可能となります。

平屋のメリット

平屋にはメリットがいくつかあります。

バリアフリーと利便性

一階建ての平屋は階段が必要ないので、全部屋・全空間を通してバリアフリーを実現しやすい特徴があります。そのため、年配の方や身体的制約のある方にとって生活しやすいメリットがあります。

車椅子の利用者やベビーカー、キャリアーなどを使う家族にとっても利便性が高くなります。荷物の搬入や家具の移動も平屋ならスムーズに行えます。

また、お掃除ロボットの性能もいかんなく発揮できるでしょう。

平屋のイメージ写真(PhotoACより)

家族のコミュニケーションが増える

各部屋が一つの平面に配置されている平屋は、家族間のコミュニケーションがおのずと促進される構造です。

2階に上がってしまえば会話しづらい距離になってしまいますが、平屋なら違う部屋にいてもちょっと声を張ればコミュニケーションできる『ちょうどいい距離感』。長年で見れば、コミュニケーション量に大きな差が生まれそう。平屋にするなら、リビングなど共有の空間を中心に、どこにいても家族の存在を感じやすくなるような間取りにするといいでしょう。

デザインの自由度が高い、間取りが自由に作れる

平屋は間取りの柔軟性が高い構造と言われます。必要な耐震強度を確保しやすいためです。

屋根を大きくしてテラスごと軒をとったり、中庭を作ったりと、自由なデザインが可能となります。実際、平屋には個性的な外観の家が多く、平屋を選ぶ人の『家づくり』へのこだわりが垣間見えます。

耐震性が高い・強度がある

平屋は一般に地震に強い建物といわれています。

二階屋より重心が低いため揺れにくく、倒壊や構造材の損傷、ひび割れや倒壊のリスクを低くできます。また、近くの道路を大きな車が通ったときに家の中で振動を感じることがありますが、これも平屋だと軽減されます。

平屋のイメージ写真(PhotoACより)

開放感がある、庭の草木、光、自然との調和が取りやすい

2階建てだと建物が大きいため主役感が高まり、庭の草木との調和を取るためには大きな庭木が必要になったりします。

一方の平屋は、屋根の位置が低いため、小ぶりの庭木でも存在感があり、家と庭に自然な調和を生み出しやすくなります。内部空間(室内、デッキなど)と外部空間(庭、地面、草木、外構など)に自然なつながりを演出しやすいのが特徴です。

大きな窓やテラス、ウッドデッキなどを使えば、自然光が多く取り込まれ、開放感のある住環境が生み出されます。

このように自然との調和を感じられる居住空間を実現しやすいのが平屋のメリットです。

平屋のイメージ写真(PhotoACより)

メンテナンスが容易

一階建てなので、屋根や外壁のメンテナンスがしやすいメリットがあります。塗装や修理のために足場を組む必要がなく(場合によっては必要)、家の保守コストを抑えることができます。

省エネ性能やエネルギー効率が高い

平屋は建物の体積が小さいので、空調効率が高く、省エネになります。

ただし、平屋はどの部屋も『屋根の真下』となるため、夏に屋根の温度が室内に伝わりやすいと言われています。いわゆる屋根裏(小屋裏空間など)で緩衝帯を設ければこの状況は緩和されますが、デザイン上、緩衝帯を確保できない場合も少なくないようです。その場合、屋根の熱がリビングやダイニングに伝わりにくい構造にしたり、断熱施工を施す必要があります。防犯上、夜に窓を開けっぱなしにしにくいという平屋特有の事情もあり、熱がこもりがちになるので、平屋の断熱は建築計画段階でしっかり考えておく必要があるでしょう。

平屋のデメリットについて

割高になる(坪単価)

坪単価で見た場合、2階建ての住宅と比較して、平屋の坪単価が割高となります。坪あたりの基礎や屋根の面積が約2倍になるためです。

ただ、建築総額で見ると、同じ希望内容で平屋にしても2階建てにしても見積もり金額はそれほど変わらないケースが実際多いようです。また、2階建てなら、階段やバルコニー、2階部分の住設、建材が必要となりますが、平屋では不要となります。この分のコストダウンが見込めます。

そのため、同じプランなら、坪単価は上がるものの、総額ではそれほど変わらない平屋が選択肢に入るということになります。これをどう見るかは施主さん次第ということになるわけですが・・・

広々とした敷地が必要

同じ延床面積の家を建てるとなると、2階建てに比べて広い敷地が必要になるのが平屋です。そのことから、ある程度敷地面積を確保できなければ平屋にするのが難しいかもしれません。

プライバシー面

プライバシーや防犯面で不安がある点も、平屋は1階部分だけなので、道路や隣家からの視線が気になりやすいデメリットがあります。そのため、広めの敷地にしたり、庭木でリビング付近は目隠しをとったりと間取り作成段階からプライバシーの確保を考慮する必要があります。

これらは一般的なデメリットですが、個人の好みやライフスタイルによっても評価は異なるかもしれません。また、建物のデザインや工夫次第で、デメリットを解消する方法も存在します。

平屋の新築を建てる際の依頼先・施工会社はどこがいい?

平屋を建てる場合、以下のような依頼先を検討できます。家づくりを重ねてきた工務店・建築会社は確かなノウハウを持っています。そのノウハウを適所に活かしつつ施主さんの希望を実現していく、そういった姿勢を持っている工務店がおすすめです。その姿勢を持っているかどうかは、やはり施主さんの話をしっかり聞いてくれるかどうかで伝わってくるでしょう。大事なことは『あなたの話に向き合ってくれる、しっかり話を聞いてくれる』ことではないでしょうか。

工務店・建築会社

地元や周辺エリアにある建築会社に相談し、平屋の建築を依頼することができます。建築会社は、設計から施工までを一貫して行い、建築プロジェクト全体を管理することができます。

山梨県の工務店一覧は以下をご覧ください▼

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建築設計事務所・建築士

平屋は間取りの自由度が高いのがメリットですので、建築設計事務所に依頼して、ご自身のイメージを実現するのも一つの選択肢です。

建築設計事務所は、専門的な設計知識と経験を持っており、クライアントの要望に基づいた平屋の設計を提供してくれます。その後、別途施工業者を選定する必要があります。

平屋のイメージ写真(PhotoACより)