県産材を使った住宅の新築やリフォームに対して、補助金や金利優遇などの助成制度を行う自治体が多いです。県産材利用は、林業、製材業の収益や雇用創出につながるためです。長期的に見れば、林業振興、森林整備、地場産材形成を促進できます。
たとえば、住宅ローンの金利優遇で返済額が170万円以上減るケースもあります(兵庫県)。もちろん、補助制度は自治体ごとに異なり、また制度の適応時期や補助額上限はそれぞれ違うので、都度自治体へ確認する必要があります。
ここでは、全国の県産材利用の補助制度にはどのようなものがあるか、まとめました。今利用できる補助制度がなくても、これから新築を建てるという方には知っておいてもらいたい情報となります。
そもそも地域材利用、森林整備はなぜ必要か?
持続可能な森林管理、森林整備は、林業、製材、建築の雇用創出や技術熟成につながるためです。収益が森林管理に還元されれば、その地域の森林利用や治水、生物多様性の保護、水源としての機能を保ちます。
【2023年6月現在、行っていません】山梨県産材利用住宅認証制度(住宅ローンの金利優遇制度)(山梨県)|10年固定金利が年2.1%引き下げ
※この補助制度は現在終了しています。
認証された山梨県産材を0.04m3以上(延べ床面積1m2あたり)活用して県内、隣県に新築を建てれば、地元銀行にて住宅ローンの優遇金利が受けられえる制度が以前ありました。具体的には、35年以内の住宅ローンの10年固定金利が年2.1%引き下げました。
最新の優遇制度の状況については、山梨県や金融機関へお問い合わせ下さい。なお、以下の山梨県のページから木材補助金関係の情報を確認することができます。
環境配慮型住宅エコプラン(山梨県)|固定金利・変動金利が年0.1%引き下げ
山梨県産材利用住宅認証基準適合住宅で新築を建てると、一定の条件に適合すれば、山梨信用金庫の環境配慮型住宅エコプランにより、固定金利・変動金利が年0.1%引き下げられる金利優遇を受けられます。
兵庫県産木材木造住宅ローン(兵庫県) |固定金利最大1.8%引き下げ
兵庫県では、県産木材を30%以上使用した木造住宅の新築、増改築、リフォームを対象に、一定の条件に当てはまれば、住宅ローンの金利が引き下げられます。
・当初25年間(固定金利)0.8%
・26年目以降10年間(固定金利)1.8%
たとえば2,500万円の借り入れで、兵庫県の比較例によると、この制度によって総支払い額が170万円以上減るケースもあるようです(下図)。
地場産材利用促進事業(東京都檜原村)|地場産材出荷量1立方メートル当たり2万円を交付
東京東端にある檜原村では、村内の地場産材を3立方メートル以上使用して新築、改築をすると、1立方メートルにつき、2万円を交付されます。50万円が限度額となります。
地場産材利用促進事業(東京都檜原村)
こうちの木の住まいづくり助成事業(高知県)|1m3当たり20,000〜11,000円の補助
高知県内で新築、増築、リフォームを行う個人が対象で、たとえば、新築、増築なら、基本部位の80%以上に高知県産のJAS木材、乾燥木材を使用すれば、1m3当たり20,000〜11,000円の補助、高知県産材を使用した場合新築住宅に対して、借入時から最終返済日まで住宅ローンの金利が引き下げられる助成事業です。
具体的には、高知県内で製材された国産の木材を住宅の構造材に50%以上使用し、在来軸組工法により建築される木造住宅が対象となります。
高知県産材住宅ローン(高知県)|固定金利最大0.4%引き下げ
また地方銀行と連携した高知県産材住宅ローンでは、高知県産材を使用した住宅で、構造材に50%以上使用し、在来軸組工法により建築される木造住宅の場合、住宅ローンの固定金利が10年なら最大0.4%引き下げられます。
いしかわの木づかい応援住宅ローン制度(石川県)|金利が0.1〜0.2%引き下げ
石川県産材を5m3以上使用した新築の住宅ローンの金利が連携する地方銀行により0.1〜0.2%引き下げられます。
以上、『県産材を使うと、住宅ローンはどう安くお得になるか?』でした。
地元の木を使うことは、昔からつづく家づくりの原形です。地元の林業や森林整備に貢献できて、住む施主さんも木の温もりを感じられて気持ちがいいので、多方面のメリットがありますね!